5日目:五郎平(テン場)>三俣山荘>黒部源流>岩苔乗越>水晶小屋>真砂岳>湯俣(晴嵐荘)
今回はまだ1日も停滞をしていないのであと予備日として2日ある。昨日は当初の予定である三俣山荘テン場よりも手前の五郎平テン場でテン泊してしまったので、本日は雲ノ平でテン泊して、明日湯俣に降りる計画をしていた。雲ノ平まではコースタイムで5時間ほど。朝7時に出発しても、かなり時間に余裕がある。思いっきり寝坊して出発することにした。
しかし、一晩経過してみると、やはり、1日でも早く温泉に入りたい、好天のうちに竹村新道(真砂岳〜湯俣)を降りたいと考え直し、朝急きょ予定を変更して湯俣まで駆け下りることにした。
このとき、既に朝6時。進路を進めながら判断をするという前提で湯俣に向かって歩き始めた。
6日目:湯俣(晴嵐荘)>高瀬ダム=扇沢
五郎平のテン場を出発してひと登りすると背後に見事な黒部五郎岳が見えてきた。こうなると、先を急いでいるにも関わらずつい記念写真を撮ってしまうのが我が家の特徴である。
三俣蓮華岳には登らずに巻道を利用することにした。しかし、残雪のトラバースが多く思いの他時間短縮にならない。
三俣山荘で竹村新道の状況を確認したところ通行に問題はないようなので、一度黒部源流に降り、そこから岩苔乗越を目指す最短ルートを進んだ。しかし、ここも残雪が雪渓として残っており、ところどころで崩壊をしている状態だった。
最初の判断ポイント「岩苔乗越」に到着。疲れ具合によっては、ここから雲ノ平を目指すことも可能だ。この時点では体力も気力も充分だったので、先に進むことにした。
皮肉なもので、先を急いでいるときに限って見事なお花畑が出現する。とくに、ワリモ乗越から水晶小屋にかけての縦走路付近にはすばらしいお花畑が多かった。
出発して5時間。ほぼコースタイムと同じ時間で水晶小屋に到着。ここで再度竹村新道の様子を確認した。
我が家の地図では水晶小屋から真砂岳を経て、湯俣まで6時間となっているが、小屋番の最新の情報では、7時間半かかるとのこと。
心配する小屋番に「竹村新道の分岐点での疲れ具合で@すごく疲れている=野口五郎小屋へ、Aやや疲れている=烏帽子テン場へ、Bそれ以外=湯俣へ」と告げて出発した。
水晶小屋を出発するとすぐに東沢乗越となる。やや足下が悪いので、ここは慎重に通過した。
出発して7時間。真砂岳の竹村新道分岐点に到着。
やや疲れてはいたが、気力も充分だし、水(5リットル)も食料も充分あり、ビバーグも視野に入れながら湯俣に向かって進むことにした。
竹村新道には今まで以上にすばらしいお花畑があった。疲れが一気に吹き飛ぶようだ。
かなり、整備はされているようだが、一部、最近崩壊したと思われる危険な箇所が数カ所あった。また、途中の2箇所の登り返し(南真砂岳、湯俣岳)や樹林帯の急降下など疲れた身体には辛い路だった。
しかし、樹林帯に突入するまでの間の景色はすばらしく、槍を始め、いつもとは違う角度から見る野口五郎、鷲羽岳などなど歩く価値の高いルートであった。
結局、昼食なし(行動食のみ)で12時間歩くこと18時に湯俣に到着した。
この日の宿泊者は我が家2名のみ。この時間に到着した飛び込み客にも関わらず豪勢な夕飯を用意していただき、暖かい風呂(内湯)と布団でぐっすり眠ることが出来た。
5日間背負って歩いていた着替え一式に着替えて、朝、晴嵐荘を出発した。
帰路に就く前に歩いて20分程の場所にある噴湯丘(天然記念物)近くの河原を掘り朝風呂と洒落込もうと思ったが、あまりの湯温に入浴することが出来なかった。
高瀬ダムまでの路はよく整備されており、コースタイムより遥かに短い時間で快適に歩くことが出来る。
エメラルドグリーンの水と針ノ木岳などの山々のコントラストがすばらしかった。
高瀬ダムに到着。ここで裏銀座を縦走してきた他の登山者が手配していたタクシーに同乗させていただき扇沢に戻った。